の中に、イエス・キリストについて書かれた文がある。
「彼らのもっとも知りたいのは『愛』とは何かということではない。
キリストは私生児であるかどうかである」というもの。
この意味を解説すると、「人は、『愛』とは何か？ということよりも、
スキャンダルの方に興味を持つものだ」という皮肉を込めた言葉。

芥川 龍之介の作品の幾つかは『今昔物語』からヒントを得たものが多い。
『羅生門』『鼻』『芋粥』などは、そこに収められた作品を改編したものと言える。
この『今昔物語』は、平安時代末期に成立したと見られる説話集。
ここに収められた話は、すべて「今はむかし(=今となっては昔の話だが)」からはじまり、
「と、なむ語り伝えたるとや(と、このように語り伝えられている)」
で終わる形式をとっている。
この説話は、平たく言えば「三面記事」に出てくるような話。
奇々怪々な話や猟奇的な話など１０００に及ぶ話が収められreenex 價錢ている。

三面記事と言えば、その昔、テレビ番組に『ウィークエンダー』というのがあった。
この番組の本名は『テレビ三面記事 ウィークエンダー』。
三面記事にしかならない話をリポーターが取材し、
「再現フィルム」として、事件の状況を演じる映像が流されたりしたもの。
高視聴率を得た番組だったが、低俗であると批判されることも多かった。
扱っていた事件は、猟奇的なものであったり、
ショボイ男が起こしたセコい事件などがおもだった reneex 。
それをリポータが面白おかしく話すといったもの。

『今昔物語』に収められている話のほとんどは、
この『ウィークエンダー』に出てきそうな話ばかり。

『今昔物語』は千年も前に編集されたものだが、
どんなに時代が変わろうと、
芥川 龍之介が語ったように、人が知りたがっているのは、スキャンダル。
まさに、至言だ。


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